みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
ご縁があり、企業が所有している昭和30年代に造られた茶室の補修工事に携わることになりました。
茶室は自然石の上に柱を建てていく工法なので、今の住宅のようなコンクリート製の基礎や基礎の上に置く土台という材料がありません。
柱一本一本自然石の形に合うように加工して石の上に建ててから骨組みを組み立てます。
長年の風雨で柱の根本が傷んできたり、建物を支えている石自体が建物の重みで下がったりして茶室内の床が水平でなくなってきているため、補修工事を行うことになりました。
建物を支えている柱の傷んでいる部分の取り除き、改めてもともとの石の形に合うように加工して取り付けていく工事になります。
新築であれば石の上に柱を置いて、石の形に加工をしていくのですが、
今回、建物自体は解体しないで、曳家(ひきや)業者に家全体を持ち上げる工事をしてもらっています。
石をジャッキで少しずつ持ち上げながら柱の根本と石の形が合うように加工していきます。
石の形に合わせるように柱の根本を加工する際の注意する点は、見える部分だけを石に合わせるのではなく柱の根本全体が石の形に合うよう加工して建物の荷重を柱の根元全体で支えるようにすることです。
実際の作業では多くて15ミリ程度しか傷んだ部分を取り除くことができないため、
傷みの多い柱の場合は柱の中心部分を残し、柱外周に見た目が同じようになる接ぎ木をしてあります。
自然の丸みのある柱を接ぎ木する作業は大変な作業でしたが、うまく仕上がりました。
柱の加工は全て終わり、この後は床下の湿気が床に来ないよう、土間コンクリート工事が行われ、建物全体を下げてから2期目の工事に入る予定です。
写真は石の形に合わせた加工の前後や接ぎ木した部分の物です。
松本工務店のスタッフには、
このような特殊な仕事に携われるような技術のある職人も数多くいます。