みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
暖かな日が増え、日中の日差しが心地よい季節になってきました。一方で、この時期に気になるのが紫外線。室内にいても窓やカーテンを通して侵入するため、知らずに浴び続けると、肌だけではなく住まいにもダメージがあります。
●室内でも紫外線対策は必要
紫外線は、波長の長さによって「UVA」「UVB」という種類があります。地表に降り注ぐ紫外線のうち約9割を占めるのがUVA。波長が長いため、雲や窓ガラスなどを透過することから「生活紫外線」とも呼ばれています。
一方、UVBは屋外での日焼けの主な原因になるため「レジャー紫外線」とも言われ、窓ガラスなどでほぼ遮断できるものの肌の炎症を招いたり、眼のトラブルや皮膚ガンの原因になる場合があります。
室内の紫外線は主に窓から侵入し、日当りの良い窓辺では屋外の約80%、他の場所でも日光の反射や散乱などによって約10%の紫外線が入り込むそうです。紫外線量は春から夏がピークのため、日差しが入る暖かな場所で過ごそうと窓際にワークスペースや子どもの遊び場などを設けている方は注意が必要です。
また、UVAは冬でも夏の半分程度降り注いでいます。晴れた日に比べると、曇りの日で約6割、雨の日でも約2割の紫外線が地表に届いています。つまり季節や天候を問わず、年中紫外線対策を心がけることが大切なのです。
●紫外線による住まいへのダメージ
UVAを浴びると肌はゆっくりと黒くなり、UVBは短時間で肌にダメージを与えます。住まいも同じように、紫外線は屋根や外壁、エクステリアをはじめ、屋内の家具やフローリングなどに影響を与えます。
□フローリング・・・表面の変色や浮き、はがれが起こる、ペイントされているものは塗料が剥がれやすくなる
□木製の家具や雑貨・・・色あせ、変色が進む、劣化を早める
□カーテンなどの布類・・・色あせ、変色が進む、劣化で穴が開くこともある
□レザー製のインテリア・・・色艶が失われる、色あせ、変色が進む
ではこの紫外線、どのように対策したら良いのでしょうか?
●窓ガラス
紫外線カット効果を持つ「UVカットガラス」の設置がおすすめ。選ぶガラスによっては、室内の明るさを維持しつつ紫外線をカットすることもできます。
UVカットガラスの設置が難しい場合は、通常の窓ガラスに「UVカットフィルム」を貼ったり、「UVカットスプレー」を吹き付けたりする方法もあります。
●カーテン
光を通しながら紫外線をカットする「UVカットカーテン」や「UVカットレースカーテン」、紫外線も光も通さない「遮光カーテン」などがあります。大がかりな工事が必要なく、インテリアコーディネートを楽しみながら紫外線を防ぐことができます。
●家具
できるだけ日の当たりにくい場所に置きましょう。専用のUVカットスプレーなら吹きかけるだけで紫外線をカット。また、UV加工が施された布でカバーするとホコリよけにも役立ちます。
●フローリング
日の当たる部分にラグやマットなどを敷くと、手軽に紫外線対策ができます。定期的なワックス掛けも劣化の防止におすすめ。ワックスはフローリングとの相性もあるので、事前に仕上がりを確認しましょう。
在宅ワークなどで家時間が増えた今だからこそ、自分とお家のための紫外線対策はぜひやっておきたいもの。長くいても快適に過ごせる住まいを実現しましょう。