みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
新年の朝日新聞に、
「適温で暮らしたい 気候危機と住まい」というシリーズの記事が掲載されていました。
元日の第1回のタイトルは、
〈寒い日本の家は「静かなる殺し屋」招く? WHO「冬は最低18度」〉というもの。
2022年10月に京都市で開催された「第29回国際高血圧学会」の内容がテーマの記事でした。
記事の中で印象的なのは、東京工業大の海塩渉助教(建築環境工学)が講演で訴えた「日本人の多くは、寒すぎる部屋で暮らしているのです」という言葉。
「高血圧や循環器の病気は生活習慣病として広く知られていますが、住環境による『生活環境病』としても捉える必要があります」と語られています。
世界的に高齢化が進み、今後ますます高齢者が自宅で過ごす時間が増えるとみられています。しかし、その家が寒いと高血圧による循環器疾患のリスクが高くなってしまいます。高血圧は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)など循環器疾患による死亡の最大の要因で、「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれていると伝えています。
そして、部屋の寒さが健康にどう影響しているのか。近年の研究で徐々に明らかになってきていると、さまざまな調査結果が紹介されています。
『調査の結果、室内の温度が低いと血圧は高くなることがわかった。また、心臓が収縮したときの収縮期血圧(最高血圧)は、朝の室内温度の変化に影響を受けやすく、特に高齢者や女性では、室温の低下によって血圧が上昇する傾向が強いこともわかった』
『自治医大の調査などで、循環器疾患の大きな発作は朝に起こりやすいこと、朝や夜の家庭血圧は薬だけで下げるのは難しいことがすでに判明している。「朝の血圧が下がることで、脳卒中や心筋梗塞、心不全の発作のリスクは確実に減ると推測される。高齢者は暖かく暮らすこと、特に朝起きて暖かい部屋で過ごすことが非常に重要になってくる」』
『がんで亡くなる人の数は季節による大きな差がないのに対し、循環器疾患は寒くなると増える。「暑い季節の熱中症より何倍もの人が、寒い季節に循環器疾患などで亡くなっている。『寒いから仕方ない』ではなく、室内の寒さで亡くなる人を減らす対策を進める必要がある」』
近年、燃料費の高騰や環境への負荷軽減などから、「暖房の設定温度を控えめに」という意識も高まっていると思います。
しかし、「WHOが勧告する18度を満たしていない住宅が多い日本では、高齢者や高血圧患者の循環器疾患のリスクを高めることにつながる」とこの記事は結んでいます。
古くなった寒い家を、リフォームで暖かい家に。
松本工務店では今後、断熱回収にもさらに力を入れていこうと思います。