みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
以前こちらのコーナーで、世界最大の「木造コンサートホール」のお話をさせていただきました。
そのほかにも近年では、木造建築の良さが改めて注目され、様々な建物に木造建築が採用されるようになっています。
今回はそんな中から、町役場の木造新庁舎をご紹介したいと思います。
京都府中央部に位置する京丹波町は、古くから「丹波の国」と呼ばれ、京の都に木材や松茸、鮎など山や川の恵みを送り届けていました。
その京丹波町の役場では、古くなった庁舎を移転新築する際に、町の資源である木材の活用を目標に掲げ、使用した木材の96%が町産材の木造新庁舎を建設。何本もの桧の通し柱が印象的な京丹波町役場新庁舎が、2021年10月に竣工しました。
今回の計画では、木の魅力を十分に伝えるために柱や梁などの構造体を露出。内装に関しても、スプリンクラー等の消火設備を多数配置することで建築基準法が定める『内装制限』を緩和し、木材をたくさん使って木の存在感をしっかり見せています。
こちらは、ドーム状の木の格子天井がひときわ目を引く議場。議場は京丹波町の象徴的な空間。京丹波町の木の魅力を存分に見せるために、架構も見えるようにし、その下にドーム状のヒノキ格子パネルを設置しています。
新庁舎の一角には図書コーナーとカフェが併設された交流ラウンジが用意され、町民が自由に使えるスペースとなっています。オープンしてからは、町内の方がお友達やご家族と訪れ、中高校生が自習したり、大学生がオンラインの授業を受けたりしているそうです。
きっと、木の温もりや魅力を十分に感じていただけているのではないかと思います。