みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
前回、木組みについてお話させていただきましたが、
今回は少し、実際の木組みの手法をご覧いただこうと思います。
木組みのテクニックは枘(ほぞ)組み、相次ぎ、仕口、継手など種類がたくさんあり、200以上と言われています。
例えば、継手のおもな分類としては、次のようなものがあります。
□相欠き・・・・双方の材料を、半分ずつ欠きこんで嵌め合わせる。
□ほぞ(枘)組み・・・・一方の材料にホゾを作り、他方の材料にホゾ穴を加工して挿し込む。
□三枚継ぎ・・・・双方の材を3等分に欠き込み加工し、嵌め合わせる。
□組手・・・・板材と板材をそれぞれ欠きこんで嵌め合わせる。
言葉ではなかなかわからないですね(笑)。
さらに細かくなりますが、実際の手法をいくつか図で見ていただきましょう。
▼十字相欠きつぎ
▼蟻形相欠きつぎ
▼2枚組みつぎと5枚組みつぎ
なんとなく、どういう構造で材料と材料が繋がっているか、想像していただけると思います。
さて、この木組みの世界は、長い歴史の中で職人たちが腕を競い、より複雑で難解な形を生み出してきました。
例えばこちらの「河合継手」は、同じパーツを使って嵌め込み方を変えれば、3方向それぞれに繋いでいけるもの。どのパターンでも、材料と材料がしっかりと連結します。
そしてこちらは、有名な「大阪城追手門控柱継手」。
一見どの方向からもはめ込めないような形をしていることから、長い間『大阪城の謎』の一つとされてきましたが、1983年にX線写真により構造が明らかになりました。
これらは全て昔からの技術ですので、
当然コンピュータ制御の工具などを使わずカンナ・ノミ・ノコギリだけで作ることができます。
その一つ一つのオリジナルを、その職人の手で作り上げてきたわけですから、
やっぱり職人の世界ってすごいですよね。