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襖(ふすま)の歴史、襖の魅力

みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
今回は、日本の家に古くからある「襖」についてお話ししたいとおもいます。

襖の始まりは平安時代といわれています。平安時代の貴族の家は、部屋に仕切りを作らずに通気性を優先した、寝殿造でした。
そこで、空間を仕切ったり目隠しをするために、屏風や簾が使われていました。当時、これら部屋の間仕切りに使う建具を総称して「障子」と呼んでいましたが、その中から、木と紙や布を材料として作られた間仕切りとして、襖障子(今で言う襖)が発明されたのです。

ですから、構造的には現在で言う障子(明障子)と襖とは大きな相違はありません。木枠に紙を幾重にも重ねて張るのが襖で、木枠に採光を考慮して薄紙を貼るだけで仕上げたものが明障子です。

鎌倉、室町時代には、襖は引き違いで使われることが一般的になり、開け閉めが容易になったことで現在と同様の使い方がされるようになります。また、襖には大和絵などが描かれるようになりました。いわゆる襖絵の誕生です。こうした変化の背景には、公家から武士階級に権力が移行する中で、住宅に求められる機能が接客中心に変化していったことが上げられると思われます。

江戸時代になると、徐々に一般庶民の住まいにも襖が普及しはじめます。
そして大正から昭和にかけて、近代化によって襖は、上流階級の邸宅を飾る美術品から庶民住宅へと普及していきました。それに従って、次第に実用的なものへと性格を変えていったのです。

なぜ長々と襖の歴史をお話ししてきたかというと、それが現在の襖の「魅力」へと繋がっているからです。
現在の在来工法の襖は、登場した平安時代から現代にいたるまで基本的な構造は変わりません。
われわれ日本人の生活様式が変わり、襖の形が変わっても襖が持っている知恵と技術は受け継がれ、その魅力も変わらずに存在しています。

●フレキシブルな間仕切り
元々、寝殿造りの広い空間を仕切るために発達した襖は、空間の形を柔軟に変化させることができる『可動式の間仕切り』としての役割があります。襖を閉めることで個の空間を、襖を開放することで複数の部屋を繋げて大広間を作り出すことができます。

●空気の層による保温性・保湿性
一般的な襖は、下地と呼ばれる骨組みに浮かした(四辺にしか糊付けをしない)状態の下張りを張り、その上に上張り(襖紙)を張るという構造になっています。そのため、下地と下張りの間に空気の層ができ、この空気の層があることで、優れた保温性や調湿性につながるのです。
間仕切りとしてだけではなく、湿気の溜まりやすい押し入れに吸湿性の高い襖を使うというのは、実はとても理にかなったことなのです。

●和室を引き立てる室内装飾
荘厳な襖絵の施された襖は、単に建具としてだけではなく、一つの美術作品のような魅力があります。
お部屋に絵画を飾るつもりで、襖を新調するのもいいかもしれません。

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