みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
松本工務店では昨年の夏からお茶室修復工事のお手伝いをしています。
前回に続き、お茶室修復工事で使用している材料についてお話したいと思います。
今回ご紹介するのは、お茶室に付随する露地(ろじ)のある中門の屋根材に使われる杉皮です。
(露地とはお茶室の庭と考えて下さい)
中門の屋根は、杉の木の一番外側にある樹皮を少しずつ剝いだ杉皮を屋根の仕上げ材として葺き上げていく和風の屋根技術工法で、杉皮葺き(すぎかわぶき)と呼ばれています。
杉皮は屋根材の他、茶室建築の腰壁材や塀の一部に使用されて、
杉板より雨に強いため、屋根材や雨水のあたる場所に使われ、自然で素朴な味わいがお茶室などの侘(わ)びた雰囲気に合っているためお茶室など含む和風建築物によく使われています。
下の写真は杉皮一枚目の施工写真です。
この上から後二枚重ねていき、屋根のてっぺん部分の棟に杉皮の短いものを重ね、最後は
杉皮が飛ばない様、竹を銅線(またはシュロ縄)で抑えていきます。
杉皮には柱などと同じように、無節、節ありがあり、一枚の値段は無節の方が節ありより2倍の価格になります。
私たちにとっても、一般住宅の工事では見ることができない部分なのでとても勉強になったと感じています。
杉皮葺きの他に桧の樹皮を使用した檜皮葺という工法があり、
檜皮葺は主に神社、お寺などの屋根材として使用され、自由な曲線の屋根などに使われています。