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知れば知るほど奥が深い「木組み」の話

みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。

世界最古の木造建築として有名な、奈良県の法隆寺。1300年の歴史を数える建築物ですが、その長い歴史を保てたのは、「木組み」という日本の伝統的な木工技術なしにはあり得ないといわれています。

木組みは、切り込みを入れた木材同士をつなぎ合わせ、がっしりとした立体に組んだり、材を延長することができる木造建築の技術。その歴史は平安時代にまで遡ります。
昨今、日本の伝統的な建築で使われるこの「木組み」に世界中から注目が集まっています。
そこには、こんな凄い理由があります。

●圧倒的な強度を生み出せる
角材同士をつなぎ合わせるということは、当然その接合部に強度が必要とされます。異なる角材を一体化させるかのように生み出された強度は、揺れや衝撃を分散し、高い強度を保つように設計されています。現在はビスやボルトなどの金物を使った、いわゆる「在来工法」が一般的ですが、腐食や木の経年変化などにより、金物にゆるみが発生し、強度が落ちてしまう恐れがあります。
金物を使わないと、不可逆的な加工がなく錆も生じないため、それに伴う強度低下もありません。

●耐久性
実際に、世界最古の「法隆寺」などは、地震大国の木造建築にも関わらず一回も崩壊しておらず、その頑丈でしなやかな構造上の強みを証明しています。

●材を延長できる
加工の自由度や柔軟性にも優れています。木材の長さは限られていますが、組木を使えば強度を保ったまま延長することも出来るので、理想的な材を選びながら、無駄なく利用することも可能です。

●腐った部分を切り落として、補填できる。
木は再生可能な素材です。建物の一部分が腐ったりした場合、そこだけ交換して作り直すことも出来るため、文化財のような建物は、当時と同様の技術で修復したり再建したりが可能です。
これが、木造建築が世界で最も長く持つ建築の1つである所以でもあります。

●解体して、移動、再び組み立てることができる。
家を解体して別の場所で建て直す「移築」は、大昔から行われてきました。現在も、空き家となった古民家を移築して住み直す人も増えています。これも、釘を使わない建て方だからこそ可能な方法です。

このように木組みの建築は、耐久性、耐震性、環境性能など、様々な面で優れています。
しかし、木は生き物なので、木目の向きや経年変化を読み取り、その木がより長く強く、そして美しく保てるような使い方をすることが必要となります。
高い技術を持つ職人が、木の性質を取り込みながら発展してきたのが木組みの技術なのです。

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