ストレスを多く抱える現代社会。自然素材である木材は、私たちに安らぎと癒しを与えてくれます。
木から発散される「フィトンチッド」という成分には、人をリラックスさせ、ストレスを緩和する効果があります。自律神経のバランスを整えたり、血圧を下げたり、脈拍を落ち着かせるというような、心身ともに安らぐ効果が期待できます。
また、調湿効果や紫外線の吸収作用、消臭作用、殺菌作用など、暮らしを快適にする優れた作用もたくさん持ち合わせています。更に、無垢材や古材にある木目にも、人に安堵感を与える効果があると言われています。
木は、私たちに多くの恵みを与え、暮らしを健康的で豊かなものにしてくれます。
木には高い断熱性もあります。木の細胞に多くの空気を含まれていて、外的からの空気が床に伝わりにくいからです。そのため、夏は涼しく、冬は暖かい環境をつくり出します。
木の熱伝導率はコンクリートの10分の1、鉄の500分の1しかありません。この低い熱伝導率が、木独特のほどよいぬくもりを生み出しています。同じ表面温度でも、触れた時に木の方が暖かく感じるのは、この熱伝導率のためなのです。
また木の壁や骨組は、断熱材と合わせて優れた断熱性能を発揮し、夏は外の熱気を伝えず、冬は室内の快適温度を逃がさない効果があります。木の家には熱を上手にコントロールできるメリットがあるのです。
暮らしの快適さは「湿気」で大きく左右されます。いくら温度を調節しても、湿度が高い室内では快適さが感じられません。また、結露を発生させたり、カビやダニが発生させるなど衛生面でも人に影響を与えます。家での暮らしを快適なものにするには、この湿気を調節することが重要です。
人が快適だと感じる湿度は一般的に40~60%ですが、木の家は湿度を一定として50%前後に保つことができます。木材は湿度が高い時は室内の湿気を吸収し、乾燥すると水分を放出し、室内を一定の湿度に調整するという特徴を持っているからです。こうした機能は、自然素材である木ならではのものなのです。
まさに木の家は、雨の多い日本の風土に最適な住宅と言えるでしょう。
木は鉄よりも丈夫な素材です。
建築材料の強さを測る目安に、比強度という値があります。これは同じ重量での強さを比較するもので、アカマツは鉄の約4倍もの引っ張りに対する比強度を備えています。また、押しつぶす力に対する強さでも鉄の約3倍です。
このため同じ強度の住宅を造る場合、木の家は鉄骨の家よりも軽くでき、地震や台風時に受けるエネルギーが少なくて済む、理想的な素材であるといえます。地震による揺れのエネルギーは、建物の重さに比例します。優れた強度を持ちながら、同時に軽さも兼ね備えた木の家は、地震の影響も少なく、大きな被害を受けずに済みます。
驚かれるかもしれませんが、木は優れた耐火性能も備えています。
鉄やアルミニウムなどの金属素材は、高温になると急速に強度が低下してグニャリと曲がってしまい、一度曲がってしまった金属素材を元に戻すことは困難です。
これに対して柱や梁などの太い木は、燃えると表面に炭化層が生まれます。この炭化層は熱を伝えにくく、酸素を運びにくくする性質があり、木が燃える速度を遅らせます。
したがって火災に遭っても木材の内部は長時間残り、強度が急に落ちることはありません。