みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
木造の建物を作ることにかけては、世界でも屈指の技術とノウハウ、そして素晴らしい材料を有する日本。
実は、ギネスブックの認定を受けた「世界最大の木造コンサートホール」も日本にあります。
それが、山形県・南陽市文化会館の「シェルターなんようホール」です。
2015年に開館した「南陽市文化会館」は、コンサートなどに利用される大ホールや、講演会や式典などに使われる小ホールなどを有する多目的ホールです。こちらの大ホールが「世界最大の木造コンサートホール」として、 2015年にギネス世界記録に認定されました。
山形県南部を占める置賜(おきたま)盆地の北部に位置する南陽市は、面積の6割が森林です。そのうち伐採時期を迎える50年生以上の人工林が27.8パーセントを占める中、森林の手入れ不足という現状がありました。
そこで、 2008年度から森林整備に取り組む「企業の森」事業をスタートし、森林資源の利活用について検討。研究を重ね、2015年に「シェルターなんようホール」を完成させました。
木造のホールは、音の反響の仕方に特徴があります。高音を適度に吸収してから跳ね返すため、低音と高音のバランスが良くなり、響きが柔らかくなります。
また、大ホールの室容積が約1万2,000立方メートルと大きいため、音の残響時間が短く、音がクリアに届き、聴きやすくなります。クラシック音楽などに最適です。
こうした美しい響きが、演奏者から愛され、観客の評判も呼んでいるそうです。
なかなか足を運ぶ機会がないかも知れませんが、山形にお出かけの際は是非その素晴らしい空間を体感していただけたらと思います。