みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
みなさんは「犬走り」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
犬走りとは、建物の外壁の周りを囲うように作られた道状の部分。犬が走れる程度の細さで作られたことから「犬走り」と名前がついています。
ではこの犬走り、いったい何のためのものか?
そもそもは、建物の外壁に泥が跳ね返って汚れるのを防ぐために作られました。
今では屋根に雨樋があることが当たり前ですが、昔の日本の住まいにはその雨樋がない時代もありました。つまり雨が降ると、屋根の軒先から落ちる雨水が土の地面に跳ね返り、建物の外壁や基礎部分を汚すことになりました。そこで、石や砂利で犬走りを建物の周囲に設けることで、外壁などが泥水で汚れることを防いできたのです。
素材としては、三和土や石などが見られますが、玉砂利を用いている住まいも多く見受けられます。その大きなメリットは防犯性です。玉砂利の上を歩くと、「じゃりじゃり」という音が出てしまうので、泥棒としても歩きたくない場所となります。また、最近では通常のものよりも大きな音が出る防犯用の砂利もあるので、住まいをより安全にしたい方にはおすすめです。
現在では基礎はコンクリートでつくられ、また外壁の水や汚れに対する性能も昔に比べると遥かに高くなっています。そのため、犬走りは絶対に必要なものではなくなってきています。
しかし、建物周りの見栄えや歩行のしやすさ、あるいは防犯対策など、その他にも様々なメリットを家にもたらし、住まいの快適性を高めてくれる部分でもあります。
そうした犬走りの種類や設置の有無についても、お気軽に相談してみてください。