みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
日本に古来から伝わり、現代でも私たちの暮らしの様々な場面で目にする「和柄」。
住宅では、壁紙や襖、欄間などにも使われるこの和柄には、
それぞれに意味があり、思いが込められているのをご存知ですかでしょうか?
今回はそのいくつかをご紹介してみたいと思います。
●亀甲(きっこう)
その名の通り「亀の甲」を象った模様。正六角形を上下左右につなぎ合わせたカタチです。もともとは中国を経て日本に伝わったもので、平安時代から鎌倉時代に流行しました。長生きする亀は昔から長寿吉祥の象徴で、健康長寿を願って様々な部分に使われてきた模様です。
●七宝つなぎ(しっぽうつなぎ)
いくつもの円の円周を四分の一ずつ重ね、上下左右に連続させている模様。「輪ちがいつなぎ文」とも呼ばれます。四方どちらへも永遠に続き縁起のよいことから、「四方」→「しっぽう」→「七宝」と呼ぶようになったとか。七つの宝とは、金、銀、瑠璃、めのう、さんご、水晶、パールのことを指します。
●老松(おいまつ)
松の木は寿命が長く、四季を通じて落葉しない常緑樹でもあることから、昔から神の宿る木と信じられていました。新年に飾られる門松は、年神様の目印。開運招福、延命長寿の代表的な文様です。松は様々な姿で表現され、老松だけでなく 若松、松葉、松原、松林など多彩な模様があります。
●波千鳥(なみちどり)千鳥文(ちどりもん)
群れになって飛ぶチドリ科の総称であり、その様子を文様化したものです。昔から歌に詠まれ、文様としても広くつかわれてきました。雄雌そろって子育てをする千鳥にあやかって、家内安全、夫婦円満の想いも込められています。格子状に千鳥を組む「千鳥格子」は、この模様をさらに単純化したものです。
●唐草文様(からくさもんよう)
植物の蔓(つる)を図案化したのが「唐草文様」。蔓(つる)の間に花や葉、実などを加えているものもあります。蔓(つる)と組み合わせる植物によって、「忍冬唐草(にんどうからくさ)」、「葡萄唐草」、「牡丹唐草」、「蓮華唐草」などの文様の種類があります。
この文様は古代エジプトやメソポタミアを起源としていて、シルクロードを経由して中国に伝わり、その後日本に伝わりました。江戸時代、大きな風呂敷の柄として良く使われました。
模様一つにも、様々な想いを込めて使ってきた日本の文化。
住まいづくりでも、そんな意味を考えながら柄やデザインを選んでいくのも良いですね。