みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
日本の伝統的な建具のひとつ障子(しょうじ)。和紙を透過して室内に入る光は、ほかの素材では得られないやさしさがあり、白い紙に反射したやさしい明るさは部屋全体に広がります。木と紙で作られた障子の陰影を見ていると落ち着きが感じられ、シンプルで飽きのこないデザインも魅力です。
今回は、そんな障子の魅力についてご紹介したいと思います。
実はこの障子、なかなか優れた建具なのです。
●調湿作用がある
日本は季節によって、乾燥したり湿気がこもりやすくなったりしますが、障子には調湿作用があるので、湿度調整を自然と行ってくれます。寝室やリビング等、居室スペースの快適性にも役立ちます。
●柔らかくて均一な光で部屋全体が明るくなる
障子は大気中にある光を柔らかく拡散させる効果があり、自然な明るさを作りだして心地よさを与えてくれます。例えば日差しの強い日中でも、障子なら光を優しく取り入れることができます。
●断熱効果がある
窓と障子の間に空気層も生まれるので断熱性も高まります。例えば、畳リビングや寝室に設けると足元も冷えにくく快適に過ごしやすくなります。
●空間に広がりが生まれる
障子が演出する陰影により、立体感が生まれ壁に奥行感が生まれます。その効果によって空間に広がりを感じることができます。例えば、リビングと畳間の仕切りを障子にすることによりその先の光と影が取り入れられるので、空間が続いているような感覚になります。
障子が長年愛用され続けているのは、見た目の美しさだけでなく日本の風土に適した優秀な機能を持ち合わせているからです。
障子の良さを活かした住宅づくりをこれからも考えていきたいと思います。