みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
木造住宅の内装の手法の一つに、「あらわし梁(はり)」と呼ばれるものがあります。
あらわし梁とは、通常であれば天井で隠されてしまう構造躯体である梁を、あえて見せる仕上げのことです。時計でいえば内部の歯車などが見える「スケルトン」のように、わざと構造を見せることでデザイン性の高い空間を作り出すことができます。
そもそも「梁」は、柱の上に水平に渡し、2階の床や屋根を支える役目がある主要な構造材。
かつての日本家屋では、樹齢何十年にもなる立派な木材が梁に使われることも多く、意匠性の高さも相まってその家の価値を表すような存在でもありました。
近年の住宅では、梁の下に天井が張られ、見えなくなっていることがほとんどです。
しかし一方で、そのデザイン性からあえて隠さない「梁見せ天井」にするつくりも根強い人気を得ています。
この「あらわし梁」には、高天井や吹抜けのような空間で梁全体を露出させる手法と、天井高を少し上げて梁の一部だけを見せる手法があります。
あらわし梁を取り入れる魅力としてあげられるのは、何より個性的でおしゃれな空間になること。
梁を隠して天井を張り、クロスなどで仕上げるとすっきりした印象になりますが、梁を見せて立体感を出すと、構造がもつ力強さが感じられる個性的でおしゃれな空間演出が可能です。
また、室内にいると見上げた空間に木が現れるため、ナチュラルで温かな雰囲気を演出しやすくなります。
木の温かみを感じられる空間にするための、とても効果的な手法ですので、住まいづくりの際はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。