みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
こちらのコーナーでもいつもお伝えしているように、松本工務店が建てるのは「天然無垢材」を使った家です。
天然の木は、種類や育った場所、周囲の環境などによって一本一本に個性が生じるものです。だから、本物の木を使った住まいづくりは、木の良さや特性を知ることから始まります。
今回は、皆さんにも木の特性を知っていただくためのマメ知識をお届けしてみたいと思います。
●「根」と「幹」と「樹冠(じゅかん)」
まず樹木の部位についてですが、樹木は、「根」「幹」「樹冠」と呼ばれる3つの部位から成り立っています。「根」や「幹」は皆さんも想像がつくと思いますが、「樹冠」と言われてもどの部分を指すのかわからない人の方が多いのではないでしょうか。
耳慣れない言葉かもしれませんが、「樹冠」とは樹木の上部で葉が茂っている部分を指します。樹木は、まず「根」から水や養分を取り入れ、「幹」を通ってそれを樹木の全体に行き渡らせ、「樹冠」の葉で光合成に使って、成長のためのエネルギー源を得ています。
この中で、フローリングなどに使われている木材は、「幹」の部分にあたります。
●「枝」と「節」は、もともと同じもの?
光合成をする葉をつけているのは、幹から生えた「枝」です。
光合成は木が生きていくためには欠かせないものですから、木が大きく成長するためには、葉をつけている「枝」が必要です。
「枝」は樹木が成長する過程で幹に取り込まれることがあり、その取り込まれたものが「節」と呼ばれる部分になります。
この「節」が、木材に独特の表情をもたらしてくれることもあります。
●「樹皮」と「木部」と「髄(ずい)」
前述したように、フローリングなど住宅の材料となるのは、基本的に「幹」の部分です。
この幹は、外側の「樹皮」と内側の「木部」に区分されます。「樹皮」とは、文字通り樹木の表層のことです。「木部」は樹木の成長により同心円状に肥大成長していて、その中心部を「髄」と呼びます。
「樹皮」は取れやすく、「髄」は柔らかく割れやすいため、基本的に木材としては用いられません。また、幹が成長すると「樹皮」の傷が幹に取り込まれ、特徴的な見た目になることがあります。
「幹」には樹木が生きた証である「節」や動物が付けた傷跡(バークポケット等)といった様々な特徴が含まれています。
本物の木を使っているからこそ現れる、個性的な表情。
フローリングとして貼られたとき、そんな樹木の生きた証を探してみるのも、ひとつの楽しみ方かもしれませんね。