みなさんこんにちは、建築家の松本勲です。
東京で住まいを持たれている方とお話していると、「うちの庭は狭くて楽しめない」という声をよく伺います。
広い土地にゆったりと家を建てる、というわけにはいかない首都圏のようなエリアでは、庭と言えば小さいものというのが当たり前ですね。
でも、庭のデザイン性や楽しみ方は、サイズだけでは決まりません。大切なのはわが家の庭の特徴を活かすアイデアと工夫。今回はスペースに限りのある庭を活用するヒントをご紹介します。
●リビングに面した庭は「楽しむ」スペースに!
狭い庭は、屋外空間と居室とが“近い”ことが特徴として挙げられます。リビングとのアクセスが良いので、例えばガーデニングや家庭菜園などの楽しむスペースとして活用しやすい空間です。狭い庭は空間全体に目が届きやすいので、生育具合に気づきやすく、水やりのタイミングや収穫の時期などを無理なく把握することができます。リビングのソファやダイニングチェアに腰掛けた状態で庭を楽しめるようにグリーンを配置するのがポイントです。
●個室と塀の間は「眺める」スペースとして
個室やお風呂場などの小窓から見える小さな庭は、眺める場所として活用してみましょう。小窓をキャンバスに見立てて、お気に入りのグリーンをレイアウトして美しい景色をつくります。窓に切り取られる部分だけを考えれば良いので、より気軽に楽しむことができます。
隣家が迫っている狭い庭や、日陰になりがちな庭の場合、坪庭風のアレンジもおすすめ。日陰を好む植栽でコーディネートすれば、夏場は室内に涼を呼び込む坪庭として楽しめます。
●勝手口に面した庭を便利なストックヤードに!
勝手口に面した庭が、ただの“通路”になってしまっていませんか?このスペースは、買い物からの帰宅時やゴミ捨て時などほぼ毎日通る生活動線になっていることが多く、活用次第で家事がぐんとラクになります。
おすすめの活用法が「ストックヤード」。買い置きの野菜やお酒などの保管場所として、アウトドアグッズ用の収納として、ゴミの仮置き場としてなど活用方法はさまざまです。
●ウッドデッキでもっと広がる
「ウッドデッキのある庭」と聞くと広々とした立派な庭を想像しがちですが、実は小さな庭や変形の庭にもウッドデッキは設置できます。しかもウッドデッキを設置することで、子どもやペットの遊び場になったり、ガーデニングや家庭菜園の楽しみ方がアップしたり、庭の可能性はさらに広がります。
●窓の外をデッキでつなぐと部屋の行き来もスムーズ
奥行きが狭く細長い庭の場合、窓外のスペースをぐるりとウッドデッキで囲んでつなげるプランはいかがでしょう?キッチン、リビングダイニング、和室など、さまざまな空間が窓外のウッドデッキを介してつながるので、住まいの回遊性がアップ。限られた敷地を有効に活用できます。
別の部屋への移動や家族への声かけもしやすくなり、ウッドデッキが家族のコミュニケーションスペースになります。